私は公立学校のスクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)をしています。両者はそれぞれ異なる教育委員会の採用ですので、活動している地域も異なります。
『スクールカウンセラー派遣事業』が始まったのが平成7年度で、それから25年という月日を経てSCは学校の中でもその存在を認められるようになっています。一方、SSWについては、いまだに「一体何をする人なのか」が分かりにくく、学校現場で十分に活用されていないという印象を受けます。
私は今の地域でSSWとして5年目を迎えますが、平成20年度に『スクールソーシャルワーカー活用事業』が始まった時にもSSWをしていました。その時の学校は新しい職種の参入に戸惑い、我々の対応に苦慮されている様子でした。学校の教員から「学校に社会福祉の人が来て何をするのか?」と言われたこともあります。SSWを監督する立場の教育委員会も手探りだったのだと思います。何か問い合わせをしても明確な答えがなかなか返ってこなかったのを覚えています。(そして、とても働きづらかった記憶が…)
5年前にSSWとして学校での勤務を始めた時にも「SCと何がどう違うのか」という質問をたくさんされました。また、「SSWは何ができるのか」とか「SCのように子どもたちに発達障害があるかどうかを判断してくれるのか」と聞かれることもしばしばありました。(SCも発達障害の有無を判断する立場にはありません!)
その都度、先生方には説明をしていますが、明確な違いを述べることは難しいと感じています。“子どもたちに関わる”という点では同じで、要するに方法論の違いというか、切り口の違いなのだと思うのですが、うまく説明できません。
私は両方の立場で仕事をしていますが、その中で感じるのはSCとSSWの連携の難しさです。まず、私の勤務先ではSCとSSWの双方が同じ日に勤務することがほとんどないため、話をすることができません。あるいは、同じ日に勤務していても活動の接点がないのか、子ども達のことについて話すことができません。なんでそうなるのかわからないのですが、お互いの持っている情報を共有するというシステムができていません。
また、SCとSSWが協働というよりはお互いの陣地争いをしてしまうような場合もあると聞いています。これがひどくなると「自分だけが知っている」状態になってしまいます。
これではお互いのエゴがぶつかるだけなので、支援がうまくいかなくなります。SCが導入された時にそれまで学校の中で教育相談を受け持っていた先生方とSCとの間でケースの取り合いのようなことが起こったという話も聞いたことがあります。それと同じことが今度はSCとSSWの間で繰り広げられるのでしょうか。そうなると一番の被害者は子どもたちです。専門職として、このような愚かな事態は避けなければなりません。
教育と心理と福祉、近接分野であると思うのですが、実際にはその間にはちょっとした壁があるように思います。これらの壁を打破するエネルギーを持ち続けたいと考えています。