スクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)について③

 前回はスクールカウンセラー(SC)のお仕事について書きました。今回はスクールソーシャルワーカー(SSW)について書いていこうと思います。

 スクールソーシャルワーカー(SSW)は教育現場では比較的新しい職種になると思います。つまり、まだよく知られていない。未知の人でもあるのかな…と思います。

 SSWとは「教育機関においてソーシャルワーカー(SW)の職に就くもの」です。

 SWというのは、主に福祉相談業務に従事する福祉職のことを指します。市役所や区役所で生活困窮に陥った人の相談に応じたり、福祉施設、介護施設などで利用者やご家族の相談に応じたりする人といえばわかりやすいでしょうか。社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている人がその業務に就くことが多いようです。(役所は必ずしも資格職がSWとして仕事をしているわけではないようですが…)

 さて、教育機関におけるSWであるSSWですが、導入はSCから遅れること13年の2008年(平成20年)に文部科学省の委託事業として「スクールソーシャルワーカー活用事業」が各自治体でスタートしました。背景には、不登校などの状況には、子どものこころの問題とともに家庭、友人関係、地域、学校など、子どもの置かれている環境の問題が複雑に絡み合っているのではないかという考えがありました。

 文部科学省が平成20年12月に出した『スクールソーシャルワーカー実践活動事例集』には以下のような文言が載っています。

 いま、子どもたちを取り巻く環境の急激な変化が、いじめ、不登校、暴力行為、非行といった問題行動等にも影響を与えている。平成7年度から、文部科学省では、児童生徒の心の問題をケアするため、臨床心理の専門家であるスクールカウンセラーの導入を進め、現在、全国の公立中学校に配置するととともに、新たに、小学校への配置も進めるなど、その充実に努め、一定の成果を挙げているところである。しかし、こうした心の問題とともに、児童生徒の問題行動等の背景に、家庭や学校、友人、地域社会など、児童生徒を取り巻く環境の問題が複雑に絡み合い、特に、学校だけでは解決困難なケースについては、積極的に関係機関等と連携した対応が求められているところである。文部科学省では、こうした生徒指導上の諸課題に対応した効果的な取組を進めるため、一部の地域で活用されていた社会福祉等の専門家であるSSWに着目し、平成20年度から「SSW活用事業」を展開している。(スクールソーシャルワーカー実践活動事例集、平成20年12月より引用)

 さて、それではSSWは学校現場でどのような役割を担っているのでしょうか。ざっくりいうと「環境への働きかけ」と「関係機関等とのネットワークの活用」ということになります。

 もう少し詳しく書くと、

  • 問題を抱えた児童生徒の置かれた環境への働きかけ
  • 関係機関等とのネットワークの構築、連携、調整
  • 学校内におけるチーム体制の構築、支援
  • 保護者、教職員に対する支援、相談、情報提供
  • 教職員への研修活動等

 となっています。

 私は活用事業がスタートした時にもSSWをしていましたが、当初は、学校に行っても「お前は何者?」状態でした。完全なアウェィな中で誰もが手探りだったように思います。SSW自身も学校も教育委員会も…です。

 特に私は、初年度は県教育委員会の採用で担当地域が広く、勤務日数が少ないという採用でしたので、アウェイ感はずっと続きました。自治体によっては早い時期から週4日、あるいは常勤扱いで採用している地域もあり、そういうところのSSWさんたちがすぐれた実践報告をされているのを聞き、非常に羨ましく思ったものでした。

 今は、県ではなく市での採用になっていますが、勤務条件は週1日のままです。そして、やはり担当校が多いので活動としては不十分だと言わざるを得ません。なかなか思うような活動ができないというジレンマを抱えています。案件が増えるにつれて悩みも増えていくといった感じでしょうか。それでも、「継続は力なり」で、担当校の先生方に少しずつ顔と名前を覚えてもらえるようになり、依頼されることも増えてきました。これはとてもありがたいことですし、日々頑張っているところです。

 本当はもう少し勤務日数が増えることを希望していますが、財政の関係もあり、こればかりはなんともし難いようです。

 SSWは学校の中で徐々に認知度が上がり、活動の幅も広がってきています。多くの実践も積み上げられてきています。その活動のほんの一端を担うものとして、子どもたちの最善の利益を守るためにこれからも活動していきたいと思っています。

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