いつもの生活

 新型コロナ感染症の新規感染者数の大幅な減少により、緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置が解除され、それまで1年半以上課せられていた様々な制限が徐々に緩められるようになりました。身近なところではデパートとか駅のショッピングセンターの営業時間が延び、仕事帰りに生活必需品以外の買い物ができるようになりました。緊急事態宣言中はもとより、まん延防止等重点措置発令中は、本屋さんも早々に閉まってしまい、洋服なども仕事帰りにゆっくり選んで買うことができませんでした。

 そして、レストランも早々に閉まっていたので、帰りが遅くなると家に着くまで何も食べることができず、とても困っていました。私は仕事先が家から遠いので、帰宅するのが常に遅くなります。17時半までの仕事でも、通勤に2時間半以上かかる場合が多いので、帰宅は早くても20時過ぎになってしまうのです。ですが、定時きっかりに帰れるとは限らず、モタモタしていると22時近くに帰宅することになってしまいます。そのこと自体はいいのですが、問題は帰り道でお腹が空いてしまうことです。コロナ禍以前はどこかで軽く食べていました。それができなくなったのが、私としては痛手でした。

 「通勤時間が長い」ということは、当然「乗り物に乗っている時間が長い」ということになります。そんなに長い路線ではありませんが、私鉄の端から端まで乗る日もあります。そしてバスにも乗ります。実は子どもの頃から乗り物酔いがあります。小学校の遠足はいつも一番前の席で先生の隣でした。修学旅行で行った“いろは坂”は大変でした。そんなわけで乗り物は苦手だったのですが、大学卒業後は車で20分かからない距離に通勤していたので、車酔いのことを忘れていました。それが長い時間バスに乗らなければいけない学校に配置されるようになり、車酔いが復活してしまいました。そして、空腹で疲れている時には電車でも酔うようになってしまいました。空腹なので気持ち悪くなるだけなのですが、それでも十分に不快ですから、できればそういう事態は避けたいところです。そんな事情もあって、帰宅の途中でちょっと一休みして軽く何かを口に入れることは、私にとっては大切なことです。それができない期間はつらかったです。

 感染者数の減少でさまざまな制限が緩和されていく中で、飲食店も21時くらいまで営業するようになりました。とても喜ばしいことです。街にも活気が戻りつつあります。停滞している経済も少しずつ回復することを願わずにはいられません。

 ですが、私たちの生活はコロナ以前の状態に戻ったのでしょうか。

 私個人のことを考えると答えは“NO”です。帰宅途中の飲食に関して言えば、多少戻りつつありますが、決まったお店にしか行けなくなりました。自分の中で「ここなら大丈夫かも」というお店にしか入れないのです。もちろん自分の基準が必ずしも正しいわけではなく、思い込みだったりするのですが…。以前のように気軽にあちこちのお店を覗いて利用することができなくなりました。動線が決まっている感じでしょうか。新しいことに対峙することを忘れてしまったように思うのです。これってなんかつまらないですよね。でも、今はそんな感覚から抜け出すことができません。「決められた枠の中で安定している」ということなのかもしれません。

 「新しいことにチャレンジしてみる」とか「ワクワクする」ことに臆病になっている自分がいます。そして、コロナ禍以前の生活を思い出せなくなっています。夜の街の酔客を見ると引いてしまう自分がいます。

 私にとっていつもの生活を取り戻すのはまだ先のようですが、皆さんはどんな感じでお過ごしなのでしょうか。

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